いつも+2

「明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。」(blog-風景と情景-より)

強姦冤罪事件の国家賠償:判決速報と背景1

【追記 2019.1.22.】
表題の事件に関して、1月22日午後、文春オンラインに詳しい記事が出ました。
最後に記事の要約を入れます。

正月明けに、強姦冤罪事件の記事の見出しを見て、びっくりした。

www.asahi.com

 本当なの?と思って検索してみると、こんな情報に出会いました。 
以下、新たに気付いた事実や、文章を何度か書き加えたので読み難く、
重複も多くて申し訳ないですが、誤解の連鎖が多いので取り急ぎ公開します。

新聞の見出しが誤解の元ですが、深い事情のある事件です。
爺さんが家族にHなことをしなければ、何も起きなかった。 

■Web上で背景がつかめる記事

goo.gl


【概要】(基本的な情報)

本件の関係者)*義理もあり変更もある.また同居.別居など変動もある.

祖父*(被告人)祖母*娘(母*)孫娘(被害者), 母の姉(伯母*),兄*
**付きの続柄は孫娘を本人として書いています。

争いのない事実 *双方が認めている事実

祖父はひんぱんに娘の尻を触っていた。
祖父は,母を犯していた。小学5年〜高校1年まで。

平成27年10月16日第1刑事部判決(無罪)

理由によれば,孫娘が親族(*1)に,爺ちゃんにお尻を何度も触られると相談したところ,
それが母に伝わり,母から「こういうことも,ああいう事もされたのでは?」
と強く問われ,母の誘導を肯定した.

←これで母が激怒して刑事訴追した.
法廷でも母の代弁のような証言←偽証:そして成長後に告白した.
まるっきりの他人が何もされていないのに偽証したのでもないし,
結果的に偽証を推し進めてしまった母が本当の被害者で偽証は代弁だった.
「祖父は母を犯していた」←これは『争いのない事実』(双方が認めている)---

但し本件の起訴時はすでに時効、
なお偽証についても、すでに時効になっている。

□爺さんは母とは合意の上というが、母の姉(伯母)は強姦と証言。
合意の上って、小学5年で合意??。
祖母は,これらを放置,かつ祖父に抗議した娘を叱責. (泣)

扶養されているので、次第に抵抗を諦めたというのが実情だろう。

簡略すぎる新聞記事は、
『強姦被害の訴えは、とかく「ウソ」が多く、
疑われた人の人生を破壊すると感じさせてしまう。』
新聞は単なる掲示板ではないのだから、背景も含めて書くべきと思う。
けれども、あまりにも深い家庭の事情のある事件で、
公益性も緊急性もない事は静観する方が、一番良いとは思う。

冤罪全般の警鐘として書くにしても、もし書くなら、
少しだけでも背景を書かないと、大きな誤解が生まれる。
偽証したのは、被害者である母に強く誘導された孫娘とは知らずに、
怒りが爆弾のように広がる様子を目の当たりにして、怖くなったほど。
この母親のした事は確かに良い事ではないが、同情します。

怒って、自分の感情で結論付けてしまった人の大部分は、
後日その詳細記事が出ても、目にしない可能性は大きい。
そして自分の憤慨に任せて結論付けた事を、別な時に事例として、
判断要素に入れがちだと思う。
(再び、誤った判断をしてしまう可能性が大きい)

新聞記者は背景を知っているはず。なぜ書かないのかと疑問に思う。
日本を代表する大新聞が、こうだという事にすごく疑問を感じる。

家庭の事って、それぞれに複雑な事情がある。
だから一方的に「ウソ」と責められている、
この男性の孫娘さんが気の毒で、記事の書き方も疑問だし、
今回の賠償請求は、爺さんの認識・反省不足だと思う。

■冤罪は大問題で、時効の件と、冤罪は別という考えも当然です。

但し、法的には別だという考えが強調されすぎると、
それを盾にしてAとBは別という話が多くなりそうで、
法的な問題と道義的な問題・前後関係を切り離しすぎるのもどうかと思う。
普通の人間が、潔白なのに冤罪になった場合か、
A・Bが無関係な件の場合なら言えるけれど、
この男性はのようなケースで全く別とは言い切れないと思う。
法的には区切って考えるからこそ、すでに無罪になっている。

法的判断は判断として、一般論で男性の主張が擁護され、
孫娘が非難されるのは行き過ぎに感じる。

■失ったものが大きいから、国家賠償は当然だという意見も解る。
*拘束日数分の補償は当然あり、この男性も受領済みなので混乱がある。(約2800万円:朝日新聞)

これは新聞に国家賠償の趣旨が書いていないから、つい誤解しがち。
現在の補償や国家賠償が最善の内容とは言えなくとも、
男性と弁護士の考えをそのまま載せて、解説も無いのはのは片手落ち過ぎ。
刑事補償の金額が適切かどうかは、別に取り上げるべき問題。
新聞は法曹関係の専門誌では無く、一般人が読むもの。

 

【追記 2019.1.22.】
表題の事件に関して、1月22日午後、文春オンラインに詳しい記事が出ました。
「強姦冤罪事件」が起きた背景には複雑すぎる家庭事情があった
被害者とされていた少女は、男性が再婚した妻の連れ子の娘
*
*つまり、孫(義理)

強姦罪などで服役中、被害者の証言がウソと判明して再審無罪が確定した大阪府内の男性(75)と妻が、大阪府警大阪地検による不十分な捜査や裁判所の誤判で精神的な損害を被ったとして、国と府に計約1億4000万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が1月8日、大阪地裁であった。大島雅弘裁判長は「起訴や有罪判決が違法だったとは認められない」として、男性と妻の請求を棄却した。

ことの発端は2008年9月にさかのぼる。“被害少女”の告訴を受けた大阪府警が、男性を強制わいせつ容疑で逮捕(後に大阪地検強姦罪でも追起訴)。弁護側は「狭い団地の一室で、家族に気付かれることなく強姦することは不可能だ」と主張したが、2009年の一審判決では、「14歳の少女がありもしない強姦被害をでっち上げることは考えにくい」と一蹴された。結局、この事件では大阪高裁で3人、最高裁でも5人の裁判官が関与しながら、「懲役12年」の有罪判決は覆らなかった。

判決から3年半後に、急展開 「証言はウソだった」

 ところが、2011年の確定判決から3年半後、被害者とされていた少女が、男性の弁護人に「証言はウソだった」と告白。性的被害を受けた痕跡がなかったことを示す診療記録も見つかり、男性は釈放された。さらには2015年の再審判決公判で無罪を言い渡された。少女は「母親との関係が疎遠になり、本当のことを言おうと思った」と説明した。
   < 中略 >

冤罪はなぜ起きたのか

 結果的に甚大な精神的苦痛を被ったのは男性の方であるが、すでに刑事補償として2800万円は受け取っている。
「証言は具体的で信用できた。職務上尽くすべき注意義務を怠ったとは認められず、女性らの供述に基づき、男性に有罪と認められる嫌疑があると判断したことは不合理ではない。通常要求される捜査を怠ったとまでは言えない」(国家賠償請求訴訟の判決文より)
[出典:文春オンライン1月22日

記事は年表や図解を使って家族関係が詳しく書かれていて、
なぜこうなったのか、
やっと理解できました。
本来は他人が知るべき事でもないし、新聞が
《 強姦冤罪事件、女性の「うそ」で服役 裁いた国の責任は 》と
報じる事に疑問を抱くほどなのですが、新聞のように断片的に書くよりは、
文春のように、詳しく書くほうがよほど良い。
事情がわかると、私の感想としては、登場人物の中で男性が一番理解できない人物。
文春の記事では、「精神的苦痛を被ったのは男性の方」と書いてあるが
私は精神的苦痛を被ったのは、男性の義娘、孫娘(養子)だと思う。
そして逞しいのは義娘(母)、心優しいのが孫娘と思うので、
そこは疑問(記者が男性だからかも)。

新聞記事から約2週間余り、強姦冤罪の件で極端に強い言葉がSNS上で見られて、心が痛んでいました。詳細が解らない事件に、なぜこんなに酷い言葉をぶつけられるのだろうと。
ほとんどの方が、冤罪を生んだ関係者(偽証した女性・検察・司法)を非難されていましたが、偶然に当時の裁判に詳しい法曹界の方のコメントを見つけて、何とか冷酷な言葉は控えてほしいと思い、どなたかが読んで下さればとの思いで集めた情報です。
今回の文春の記事は、公判記録などに基づいている上に、さらに詳細記述があるので信憑性が高いと思います。(但し長いので、記事下に要約を参考に入れます。)
*以下の内容も公判記録を参照していますので大筋は一致していますが、Web上で確認できる範囲の情報のため、細部は異なる部分もあるかもしれません。

文春オンライン:要約(家族に関して)
「強姦冤罪事件」が起きた背景には複雑すぎる家庭事情があった
被害者とされていた少女は、男性が再婚した妻の連れ子の娘

実際に性関係があったのは男性の再婚相手の連れ子A子(男性はA子の義父)。
被害者とされていたのは、A子の娘B子。つまり義理の孫です。
A子は母に訴えたものの、慰めどころか「あんたの顔なんか見たくない」と突き放された。最終的にはA子が高校の教師に相談して、爺さんも隠しきれないと観念し、
親族の前で土下座して謝った。
*爺さんは合意の上と言っているが、A姉は強姦と証言。

A子が結婚してB子と兄が出来たが、DVから逃れるために離婚して、旅館に住込みで就職したため、幼かったB子とB兄を実家に託した。
その後再婚してA夫との間に子供が生まれ、落ち着いたのでB子B兄を引き取ろうとしたが(A夫と養子縁組した)、爺さんが20歳になるまではうちで育てると言って渡さなかった(爺さんと養子再縁組)。だからB子は爺の元で育った。
爺がそのまま大人しくしていれば良かったのに、B子にも痴漢行為をしたため、B子が大伯母(A母の姉)に相談し、大伯母がA子に伝えたところA子が激怒した。
痴漢程度だったので爺は否定したが、周囲が信じずにA子の誘導的な問い詰めをB子も肯定し、その内容で代弁的な証言をした。B子が成長して弁護士に告白し再審→無罪となった。
2019年1月8日に、国家賠償請求は棄却の判決。
naver まとめ(2020.9.30にサービス終了)
強姦冤罪事件、女性の「うそ」で服役:法的には無罪だが大切な事は??より

 強姦冤罪事件の国家賠償:判決速報と背景2へ続く>>

f:id:inking:20190702151158j:plain