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強姦冤罪事件の国家賠償:判決速報と背景2

【2019年2月8日の請求棄却判決についてのニュース】

強姦冤罪事件、国賠請求を棄却 大阪地裁(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 ◎請求棄却に、さらに大きな疑問の声が上がっている。

 ■ これもニュースに解説のない事による誤解が多い。
偽証とはいえ、全くの身に覚えのない事ではないのに、
潔白な人の冤罪との勘違いがほとんど(記事からは無理もないが)。

*この記事は、強姦容疑を無罪と主張している人物には、
ありがたいニュースだろう。
何とも悲しい出来事だが、事実と若干ズレがあっても、
反省すべき点があるなら、普通なら国家賠償なんてことで、
家庭内の恥を再び晒したりしないと思う。

冤罪被害者というよりは、家族の気持が、
《全然》解っていない、身勝手な夫婦ではないだろうか?
SNSはストレートに感じたままをぶつける怒りにあふれている。
あまりにも記事が中途半端だから、怒りの渦が起きて当然と思う。

■また2015年に無罪を勝ち取った時の記事も、無罪の件だけ報じて、
本来の被害者の事はスルーしている。ただ、なぜ偽証したかは解ります。

【男性に無罪判決、6年拘束「計り知れない苦痛与えた」大阪地裁裁判長が遺憾の意】(2015.10.16 産経新聞) www.sankei.com

 当時10代の少女で同居していた親族女性に対する強姦と強制わいせつの罪で懲役12年が確定し、約3年半の服役後に被害証言が嘘だったとして釈放された男性(72)の再審判決公判が16日、大阪地裁で開かれた。芦高源裁判長は「被害に遭ったことはなく、無実の人を放っておけない」と従来の説明を翻した女性証言の信用性を認め、無罪を言い渡した。 (中略) 判決は「母親による誘導が少なからずあった」と認定、女性の新証言は客観的な診療記録とも一致するとした。 男性は平成20年に逮捕、起訴されてから一貫して無罪を主張したが、23年4月に最高裁実刑が確定。地検が昨年11月、冤罪(えんざい)が明らかになったとして刑の執行を停止して釈放するまで勾留・服役期間は計約6年に及んだ。大阪地裁は今年2月に再審開始を決定した。 無罪判決を受け、大阪地検の北川健太郎次席検事は「無罪となるべき事件を起訴したことは遺憾」とコメントした。

 ■国家賠償についての解説も無く、自分で調べないとわからなない。

国家賠償では、当時の審理状況等に照らし、
その判断過程に瑕疵があるか否かが問題になる。
結果を重視して当然に保証される刑事補償とは異なり、
不法行為の特別法である国家賠償法は、故意過失の有無が別途問題になる。
国家賠償は不法行為による損害賠償だから、
裁判官の過失(不法行為)を認定できるかが問題。 

《法律に詳しい人のコメント》
女性の偽証が簡単に見破れるのに不注意で見破れなかったというのなら、
その裁判官の過失があったと言えるでしょうが、
最高裁まで行っているということは地裁の裁判官1人だけでなく、
高裁の裁判官3人も偽証に騙されているわけで、
また、他の親族も偽証しているのであれば、
裁判官の不注意を国家賠償訴訟で認定するのは難しいでしょう。

なるほど、そう簡単には国家賠償は認められない・・
ではなぜ訴えるのだろう?ますます謎の深い爺さん。

この孫娘さん、娘さんに「大変な人生でしたね。」と言ってあげたい。

刑事補償法 - Wikipedia (受領済み)
国家賠償法 - Wikipedia

◎裁判所 下級裁判所裁判例速報 平成27年10月16日 
 平成26(た)22 強制わいせつ,強姦(再審)
○検索β (判例検索サービス)*(上記と同じ内容ですが読みやすい)

公判記録に基づいた冷静で詳しいブログもあります。

この冤罪事件は「性犯罪被害者の主張を疑え」という話ではない : 九段新報
blog.livedoor.jp

再審の判決文を閲覧した限りでは、被害者の母親が極めて強く問い詰めたために被害者および目撃者が虚偽の証言をするに至っています。第三者の圧力によって虚偽の証言をしてしまうというのはよくあることでしょうが、被害者と目撃者がそろってというのは稀でしょう。
 しかしその母親も、被告から被害を受けていたとなれば、端緒となった証言からより重大な被害の可能性を想起するのもやむを得ないと思います。
<中略>
今回の事件は冤罪を防ぐための一助とせねばなりませんが、「性犯罪被害者の証言は信じるな」という方向へロンダリングされてはなりません。

 
■そして公判記録を資料として掲載されている弁護士事務所のブログもあった。
長いのですが、この事情の詳細を確認できます。

【刑事】強姦被害者とされる者の虚偽の供述があったために有罪とされた冤罪事件に関するメモ - 竟成法律事務所(旧 法律事務所ミライト・パートナーズ)のブログ

*複雑ですが、偽証者を非難される方は、一度読んでからにしていただきたい。

milight-partners-law.hatenablog.com


このブログに掲載されている公判記録(再審)の中に、
非常に複雑な家庭環境を窺わせる部分があるので、
ずいぶんためらったのですが、
あまりにこの偽証女性を責めるコメントが、
FBやTwitterに溢れているので、あえて抜粋します。
これにまたいろんな憶測が生まれるかもしれないが、
女性に全額賠償させろとか、同じだけ拘置せよとか、
中にはもっと物騒な事を書く人もあるので、
彼女には何の罪もないと解ってほしいのが目的です。

本来の強姦被害者である娘(母*)と、祖父とは義理関係なのですね。
そして母の夫と孫娘は血縁がなく、平成18年からは祖父と養子縁組をして、
一時期は母の夫と養子縁組した事もあったが、再び祖父の養子になっている。

■公判記録(再審)より

(2)信用性の検討
 そこで,以下,弁護人の主張に鑑み,多様な観点から被害少女供述の信用性について検討を加える。

ア 虚偽供述を行う利益・動機の存否
 まず,何よりも,被害少女の供述は,自分の母親の義父であり,平成18年7月からは自分の養父(但し,この間一時期母Cの現在の夫の養子になったこともあったが,間もなく被告人の養子に復している。)でもある被告人から強姦されたり無理にわいせつな行為をされたということを内容とするものである点が重要である。
(*一審の証言が偽証だったと告白したので、無罪になっている。)

ここまで複雑な事は、新聞も書かなくて良いですが、
例えば「偽証するに至った原因は家庭内の事情で、
背景には、かつて性的被害にあっていた、
母の誘導で代弁的な誇張のある証言をしてしまったという、
やむを得ない面もある。」
ぐらいは書けるだろうと思う。
または、時効になっている件まで引き合いに出すのはまずいなら、
太字部分だけでもずいぶんマシだと思う。
自分が被った事柄だけを不当だと主張しているが、
何度も言うが、本人が家族にHなことをしなければ何も起きなかった。
彼の性癖に巻き込まれて、義娘、孫娘がどれほど辛く迷惑な思いをしたか、
考えて欲しい。
義娘とは合意の上と言うが(姉は強姦との証言だが)、それで自分は
妻とは離婚覚悟としても(バレたら)、妻と娘の関係はどうなるか、
考えたことがあるのだろうか?

ある時効の件Xと、別の件Yを関連付けて考えるのは本来いけないことです。
但しこのような非常に関連性の高い場合、ましてこの男性は、
保護責任のあった義娘と小学5年〜高校1年まで性関係を持ち、
また孫娘についても、彼女が大伯母に相談するほど頻繁に体に触っていたら、
母の抱いた疑念や怒りは、不当とは言えないと思う。

また、証拠について、Twitterなどで、処女膜に損傷がなければという意見が、
かなりあったが、心の傷は考えない人なのだろうかと悲しく思います。
家族を幸せにできない男性が、名誉とか失った時間とか云々は、
個人的には、得手勝手な主張だなあと思う。

■2015年10月の再審無罪判決の際も、新聞だけではなく、TVも同じ論調です。
これも事実の半分しか伝えていなくても、誰も疑問を持たなかったようです。
「14歳の少女はなぜ偽証し、なぜ数年後に告白したのか?」
については誰も触れない。
それはプライバシーへの配慮もあっただろう。
ただ、冤罪一般への警鐘として取り上げていると思えば理解できる。
そこで止めておけば良いのに、何だって国家賠償請求までして、
結局プライバシーを自分で失う方向へ行っている。
本人は別に良いのかもしれないが、孫娘は(個人名は特定されなくても)
傷つくのではないだろうか。

*なおこの件は、第190回国会 衆議院で、鈴木貴子議員が質問されているが、
安倍内閣総理大臣により検察官が謝罪したという回答がされている。

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□余談ですが

報道されてすぐに、男性が娘(母)を犯していたという事の
信ぴょう性を疑うと、詳細情報を否定しておられた
前田恒彦元検察主任(*2)のコラムがあり、余計混乱しました。
現在はその段落を、当たり障りない文章に変更しておられます。

多くの方が単純にこの元検察主任の肩書きを、普通に信頼しておられるようだ。
私も裏側を知っておられるだろうという意味で、
ある意味で信頼していたが、彼女の事情に全く同情もなく、
自分のコラムを変更した理由も示されないのは疑問です。

news.yahoo.co.jp

皆が参考にした当初のコラム(2019.1.8.)→
「いまだにネット上では、
週刊誌などの断片的な伝聞情報に基づき、
女性の母親と男性との関係など、
事件の背景がまことしやかに語られ、
拡散されているが、
取材などろくに行われておらず、
再審公判でも出てきていない話であり、
男性に対する新たな誹謗中傷になりかねない。」


1.12 現在→
「女性の母親と男性との関係や女性の年齢など、
たとえいかなる事情があろうとも、
警察や検察、裁判所がやるべきことをせず、
目の前の証拠だけで誤判に及んだという事態の
深刻さには変わりがない。」

このコラムが代表的なものだが、別人だとか、
週刊誌記事はガセネタなどという説が少しでもあると、
それもWEB上の記述なのに、すぐにその説に傾く人も多い。

それほど、この男性の行動は信じがたいという事かもしれない。
それにしても
マスメディアと、SNSを活用すれば、
世論を大きく左右できるというのが怖いです。

結局、物事を一つのニュースソースだけで、判断してはいけなないって事ですね。
頑張って!告白した女性 !! 新聞の見出しに疑問を持った人は多かったよ!
「勇気をもって告白したあなたは「うそ」つきではない」。
事情がわかったら、ほとんどの人が、あなたの幸せを心から祈ると思う。

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(*1)一時は母と記していましたが、大伯母に訂正(再審請求審記録による)
(*2) 前田恒彦 - Wikipedia(まえだ つねひこ、1967年8月25日 - )は日本の元検察官

 

【追記】2019.12.3.

このブログを書いてから数ヶ月後に、全く偶然に「はてな匿名ダイアリー」に、こんな文を見つけた。「強姦冤罪事件、元少女が救われなさすぎる」そう!これが言いたかった。しかもきちんと判例などの資料にリンクしておられて、このダイアリーだけでも十分全容がわかる。

書かれた日付は2019.1.9.これに早く気づいていたら、自分であれこれ調べたり、長いブログを書いたりしなかっただろう。まさに同感。でもこの日付の前、新聞記事の出た直後から、SNS上では非難の嵐が起きていた。げに恐ろしや、人の怒りに火をつけてしまった大新聞の記事と、それをベースにした元検事・弁護士などのブログ。悲しい誤メディアと弥次馬SNS。歴史などに関しても、気をつけないと、とんでもない誤解を元に世論が左右されることになる。

これを書いている今は、記事から一年近く経ったのだが、最近話題になっている「桜を見る会」が公金を使って、公職選挙法違反行為をしたのではないかと言う問題の渦中に、首相が新聞社のキャップと会食をしたと言う話で思い出して、書き留めておこうと思いました。このブログで取り上げている「『うそ』で冤罪」記事は、レイプの訴えは冤罪が多いという印象付に成功しただろうと思う。以後司法まで影響されたかのように、次々とレイプ裁判で無罪判決が出ている。そして、首相に近いY氏は、レイプ疑惑が非常に濃い。

anond.hatelabo.jp

【追記2】
・控訴するとは言っていたが、本当に控訴して国家賠償請求は棄却された。
(これに国賠があれば、家族ぐるみの詐欺が可能になってしまうので以下の記事に同感)

■再審無罪の大阪養女レイプ冤罪事件 国賠訴訟で判明した深層 片岡 健 : デジタル鹿砦社通信
・一方で、この家庭の事情をご存知でも、国家賠償の棄却はおかしいと言われる方もある。これはそんな主旨のマスコミ記事を元に判断されている。主要メディアの影響力はすごいなと思う。

■日本の司法制度の闇を映す「強姦冤罪事件」: HOME★9(ほめ・く)

 

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